とっくに衣替えも済ませた10月。始まって早々、台風やら、30℃超えの真夏日やら…まさに異常気象です。何やら落ち着かない秋、気合を入れよう!ということで行ってまいりました、朝活。
以前に、アトレ川崎内にあるカフェを紹介しましたが、今回は、がっつり定食です!川崎駅周辺にお住まいなら、御存知な方も多いのではないでしょうか?川崎駅に隣接するビル、タワーリバークの1階に店を構える「お食事処 島田屋」です。
このビル、図書館やら港湾局やら、役所関係も入っているという少しお堅めのビルなんです。そこに、場違いとも言える「The 昭和★」の雰囲気を醸し出す島田屋。素敵です。さらに、特筆すべき素敵ポイントは、営業時間。なんと平日朝6時から深夜24時まで!チェーン店ではないのですよ?個人商店でこの心意気は素晴らしい…。もともと、駅前の別の場所にお店があったらしいのですが、川崎駅の再開発で、現ビルにお引越しされたそうです。前の場所にあった時代から数えて、創業40年ほどということで、長いこと川崎市民、特に夜勤明けなどの労働者の方々のお腹と心を満たしてきたのでしょうね。
店内は、大きなL字型カウンター席に、4人掛けのテーブルが2卓。満席でも20人ちょっとくらいでしょうか。入口から全席が見渡せるほど、小さなお店です。平日、朝8時。私の他に、50~70代くらいの一人客が4人、30代くらいのお兄さん二人組が1組。半分くらいのお客さんが、もうこの時間からビールを引っ掛けていらっしゃいました(羨ましい)。席に着くと、おかみさんがサッとお水を出してくれます。過度なおもてなしはせず、平熱の接客。適度に放っておいてくれる距離感が良いですね。
メニューは壁一面に貼ってある手書きの短冊から。手書きメニュー、しかも短冊って、今はもうあまり見られなくなりましたよね。昭和の雰囲気をビシビシ感じます。
さて、活を入れたいとオーダーしたのは、このお店の名物であり、一日限定20食という「チキンヤーン定食(税抜き800円)」。チキンヤーン?聞いたことないけれど、名物&限定という言葉に惹かれて即決です。そこに、だし巻き卵(税抜き200円)を追加します。カウンターの奥にあるキッチンから、香ばしいお肉と刺激的な香辛料の香りが漂ってきます。ほどなくして、目の前に。白米に味噌汁、漬物に豆腐、とことんシンプルな定食です。まずは追加で頼んだ、だし巻き卵を。こちら、甘い玉子焼きではなく、お出汁が効いている優しいお味です。白米と味噌汁は…普通ですね(笑)。いえ、良い意味での普通ですよ!お味噌汁の具はワカメオンリーで、きっと皆さんが想像するような定食屋さんのお味噌汁です。薄味の大根の漬物も合わせて、奇をてらっていない、安心のクオリティ。その中で、冷や奴の主張が割と強い。サイズが大きいのです。半丁くらいはあるでしょうか。これはもう、定食の小鉢としてではなく、単品メニューの大きさですよ。
さあ、メインのチキンヤーンです。メニュー短冊には、「とり肉スパイシーステーキ」と説明がありましたが、見たところ、鶏モモ肉をスパイシーなタレに漬けこんでソテーした、という感じでしょうか。いざ一口!
……う~ん、なんでしょう。想像と異なる、初めて体験する味。見た目より辛みはマイルドなのですが、和食でもない、中華でもない、アジアでもない、多国籍な風味を感じます。そこでふと思い浮かんだのが、タイ料理の「ガイヤーン」。鶏肉を、ナンプラーやニンニクなどが入った甘辛タレに漬け込んであぶり焼きにした、タイの郷土料理です。名前も似ていませんか? しかし、チキンヤーンにはタイ料理の風味は全く感じません!見た目や作り方こそガイヤーンに近いようですが、味は全くのオリジナル。面白くて、クセになる味。そして、ご飯がとても進みます。朝からガッツリし過ぎですが、お陰で活力が沸いてきました!
しかし、まさか昭和の定食屋さんで、初めての味を体験するなんて…。まだ未体験の人は、ぜひ試していただきたい。そして、何の料理に近いのか、語り合いたいです(笑)。ちょっとひと癖ある、不思議な定食屋さんでした。